2009/07/09

月曜から入院してます。

Image189

後頭部にブツブツができて痒くなり、あげくの果てに頭痛までしてきたので、きっとヘンな外来生物に刺されたに違いない、でもダニだったら恥ずかしいなと思いながら皮膚科を受診したら、女医さんに「帯状疱疹です。すぐに入院して下さい」と言われました。

帯状疱疹とは、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウィルスが体のどこか(神経節)に潜んでいて、それが過労、体力低下、老化、病気などによって、抵抗力が落ちたときに息をふきかえす病気だそうです。

確かにこのところ、土日も仕事。平日も9-19時まで仕事した後にテニスを22時までやって、そのあと1:00に寝るまでまた仕事をする、なんて日々が続いていました。疲労感はそれほどでもなかったのですが(これまでにはもっと疲れを自覚していた時期もあったので)、睡眠時間が減ったことと(通常は7時間が5−6時間)、なかなか認めたくないことですが、加齢によって抵抗力が落ちているってことでしょうね。

帯状疱疹は激しい痛みに襲われることも多く、治ってからも神経痛として痛みが残るケースが多いそうです。そうならないようにするためには、早期発見して、安静にし、抗ウィルス薬や鎮痛薬などを適用することが効果的だそうです。自分の場合、最初は頭痛がありましたが、今は薬のせいか、ほとんどおさまってます。

元々は水ぼうそうのウィルスなので、接触による感染の危険もあるということで仕事は休まざるを得ませんでした(今の若い人には子どもの頃に水ぼうそうをやっていない人も多いそうですので)。自宅療養ならPCなどで仕事ができるかなと思ったのですが、薬は内服よりも24時間の点滴の方が効くこと。なにより、ストレスを減らすことが大事なので、長く神経痛に苦しみたくないなら仕事も控えるようにと、医師から優しく脅されました(笑)。

週末は日本行動分析学会の年次大会もあり、授業も前期後半で、各種プロジェクトも進行中であり、本来なら休めるような状態ではないのですが、仕方ありません。年次大会のため、都議会選挙は日曜に期日前投票を済ませておけたのは逆にラッキーでした。

入院前に一度帰宅させてもらい、関係各位の皆さまに、お詫び、お願いなどのメールを打って、それでもノートPCや本や論文をスーツケースにぎゅうぎゅうに詰め込んで、いざ入院しました。

とりあえず少し落ち着いたのでブログを更新しておきます。

すでにお見舞いのメールを下さった皆さま、ありがとうございます。返事はできませんが、心から感謝しています。

入院は1週間から10日と言われています。その間、ゆっくりと静養し、後遺症もなく、しっかりと回復するのが今の私の目標です。

お見舞いのメールをいただくと、返事をしたくなる誘惑、もしくは返事をしないことによるちょっとした罪悪感を感じますので、そっとしておいていただければ幸いです。

五体満足で、生命に関わる危険もほとんどなく、頭も心も健康のまま入院生活を体験できていることは、ある意味で幸運です。上の写真はラウンジからの眺望です。毎朝、コーヒーを飲みながらここで新聞を読んでます。まるで優雅な隠居生活です。ただ、下の写真のように腕はずっと点滴につながれてますから、むしろ幽閉生活に近いかもしれませんが。

Image190

せっかくなので、この機会を使って、入院生活を快適に送るためのコツをつかんでおこうと思います。なにしろ人生初の入院なので、いろいろと発見があります。次に入院するときにはこんな健康な状態(?)ではないでしょうから、そのときに活かせるよう学んでおこうと思います。

病室に持ち込んだPCはDVDを観るのに使い、本も仕事以外のものに限定して、しばらくはお休みモードに入ることにしました。このさい、一番苦手な《休む》に挑戦してみます。

ちなみに前回の「私はこれでタバコをやめました」は1週間くらい前に書いて公開予定日を設定していた記事です(記事を書き溜めたときにはこういう手を使っています)。あれ?と思われた方もいらしたようですが、入院中に書く記事はこれが最初で最後ですのでご心配なく。

10:51 午前 雑記 |

2009/07/06

私はこれでタバコをやめました。

Wntd_sticker_400_2

世界禁煙デー」という日があるそうです。WHOが定めた日ということで(5/31)、今年は各国政府がメーカーに対して、黒ずんだ肺や黄ばんだ歯の写真などをタバコの箱に印刷するように要請したそうです。

いわゆる嫌悪療法ですね。

ちなみに自分は学生時代から28歳くらいまで、とてもヘビィなスモーカーでした。一日2箱ペースで吸っていたこともあったし、貧乏だったので、ピースとかゴールデンバットにお世話になっていたこともありました。

タバコを止めるきっかけは京成立石に住んでいた頃。中川の堤防沿いコースをジョギングしているときに胸が苦しくなって走れなくなってしまったんですね。これはいかんと奮起一発。

禁煙の失敗と再チャレンジを何回か繰り返し、最後に効いたのは嫌悪イメージ法。

タバコが吸いたい!と思うたびに(英語ではurgeといいますが、まさに“あぁ〜じぃ”という焦燥感)、満員電車で横にきて、ぎゅうぎゅう押してくる、スダレ髪で太って汗だくでフケだらけで体臭がきついおじさんを連想するようにしたんです(スミマセン。そういう人に悪意があるわけではありません)。

当時は京成電鉄で渋谷まで通っていたんですが、こういう人は決して少なくなかったので、連想するのは難しくありませんでした。しかも、こういう人に限って電車を降りた瞬間にタバコに火をつけるというマナーの悪さも兼ね備えていたおかげで、嫌悪感は増すばかり。

タバコと黒ずんだ肺の写真を物理的に近接させるだけでなく、自分が喫煙している姿と嫌悪刺激とを重ね合わせてイメージするという手続きが成功の一因かも。

それと、タバコを止めた途端に(というのは記憶の歪みで、おそらくは数週間後に)、ジョギングが楽になって、音楽を聞きながら楽しく走れるようになってきたというのも促進要因だったに違いありません。

ところで、「世界禁煙デー」って英語では“World No Tobacco Day”。そのまんまだ。

06:35 午後 パフォーマンスマネジメント |

2009/07/03

Kzokuコラボ企画:ケーゾクはチカラ! その5

前回までのあらすじ  なぜなぜ5回法を使ってダイエットする理由を見直した島宗は、体重や体脂肪率の低下そのものを目標にするのではなく、テニスやクライミングの上達を目指したセルフマネジメントにKzokuを活用すべく、まずはベースラインの測定を始めたのであった。

 なんだか懐かしい書き出しだなぁと思った人は、きっと私と同年代ですね。あとこれに「登場人物」の欄さえあれば...

 冗談はさておき。今回はダイエットの継続のために私が使っているワザをいくつかご紹介します。第3回の記事で解説したように、どんな工夫が成功するかは人によって異なります。私にとっては有効でも皆さんにはうまくいかないかもしれませんが、やってみないとわからないから面白いのです。ヒントになればぜひ自分なりのワザの開発に役立てて下さい。

 まずは体重と体脂肪率の測定について。記録を続けることがダイエットの継続に最も重要な要因であることは間違いありません。でも、記録を継続することほど、一見とても簡単そうで実はとても難しいこともありません。よって、いくつかの工夫が必要になってきます。

 私の場合、足裏で体脂肪も同時に計測できるタイプの体重計を使っていて、これを洗面所の床に置いてあります。洗面所は風呂からでたところにあり、風呂から出たら体をふいて、すぐそのまま裸で体重計に乗るようにしています。

Kzoku2009070301

 床に置きっぱなしだと、邪魔だし、見かけも悪いですが、片付けてはいけません。片付けると、測定のたびに出してきて、また片付けなくてはならないという“行動のコスト”が生じます。行動のコストというのは、簡単に言えば、めんどうくさいということです。些細なことだと思われるかもしれませんが、ほんのちょっとのコストでも行動の継続には大きく影響します。だから、いかに簡単に測定できるように工夫するかが大事です。

 測定は、毎晩、寝る前にやっています。できるだけ同じ条件で測定することが私にとっては大事です。ダイエットのための「やること」をすれば必ず一日でそのぶんの成果がでます。たとえ500gでも“成果”です。ところが測定条件を一定にしておかないと、この成果を測り損ねてしまいます。だから、寝る前に(つまり、一日の食事がすべて終わった後で)、裸で(つまり、そのときに着ている服などに影響されず)、同じ体重計で(つまり、ジムや銭湯にも体重計がありますが、機械による誤差に影響されないように)測定します。重要なのは、測定するたびに、直前に頑張ったぶんの成果が読み取れるようにすることです。逆もまた真なりで、食べ過ぎたときなどは、それがそのまま測定できるようにすることも大切です。

 体重計に乗って自分の体重を知るだけでは、自分の場合、ダイエットの継続には不十分です。記録して、グラフにして、それを目で見て、ようやく効果が現われます。ですので、洗面所の体重計からパソコンのKzokuまでをつなぐシステムが必要になります。最近ではUSBでつながる体重計やKzokuのようにグラフまで作成してくれるゲーム機もあるようですが、私の“システム”は安くてお手軽な付箋とペンです。

Kzoku2009070302

 付箋は100円ショップで購入したもの。ペンはもらいものです。これを洗面所に置きっぱなしにして(片付けてはいけませんよ)、体重計に乗ったらすぐにここにメモします。USBケーブルをつなぐ手間やパソコンを立ち上げる手間は行動コストになりますから要注意です。そして、寝る前の仕事はここまで。後は翌朝、歯を磨いた後に体重と体脂肪率を記入した付箋を切り取って手帳に貼っておき、仕事を始めるときにKzokuに入力します。入力のためにわざわざパソコンを立ち上げるのではなく、立ち上がっているパソコンを使うという点もワザの一つです。

 「やること」の記録はKzokuにそのまま入力することもあれば、システム手帳を使うときもあります。自分は毎日その日にやることをto-doリストとして書き出しています。仕事も遊びもです。

Kzoku2009070303

 その手帳のディバイダー(その日のページに栞代わりにはさんでおくプラスティックのボード)に、「やること」を貼っておきます。宛名ラベルに印刷すると楽です。こうしておくと、わざわざこのためにシステム手帳をカスタマイズしなくても、毎日「やること」をチェックできます。

 これは今週から始めたテニスとクライミングの記録です。

Kzoku2009070305

 こちらは昨年ダイエットしたときに使っていた「やること」です(すみません、ピンボケです)。

Kzoku2009070306

 ふだんからしていて、すでに慣習化している、つまりことさらに努力しなくても継続している他の行動に相乗りしてしまうところがこのワザのポイントです。

 以上、記録を継続するための私のワザからみえてくる、行動分析学的ダイエットの“コツ”、第五弾はこれ。

行動分析学的ダイエットの“コツ” ○体重・体脂肪の計測はできるだけ簡単にする。

○計測した記録を視覚化するまでの手順もできるだけ簡略化する。

○頑張ったぶんの成果が数百グラムまで読み取れるようにする。

○ふだんからやっている、慣習化した行動に相乗りさせる。

 他にもいくつかワザがありますが、汎用性はあまりないかもしれません。今回はそんなレアワザを2つだけご紹介します。

 一つは昼食シリアル法。これは前日に食べ過ぎ、飲み過ぎで体重が増えたら、元に戻るまでは昼食をシリアルだけにする方法です。シリアルといっても、玄米とかブランとかグラノーラなどの、甘くない大人向け商品。これをキャンプ用のステンレス製食器に入れて、無脂肪牛乳に浸して食べます。どうしてもドッ○フードとか○ャットフードのイメージがして、美味しくても大量には食べられません。体重は1-2日で確実に落ちます。お通じもよくなります。“予約”と称して、飲み会の日の昼飯にこの方法を使うこともあります(そうすると、たらふく飲んで食べてもそれほど体重が増えないので、なんだか嬉しい気持ちになります)。

 もう一つはおみやげおっそわけ法。自分は酔っぱらうと帰宅途中でほぼ間違いなくコンビニに立ち寄ります。二日酔い防止のためにウコン系のドリンクを買う、というのは口実で、シュークリームやエクレア、せんべいやカラムーチョなどを大量に購入します。そして帰宅すると、それを0時から1時過ぎまで食べ続け、そのまま寝てしまいます。胃腸にも悪いし、健康にも悪いし、もちろんダイエットにもマイナスです。

 コンビニでの買い物を減らしたり、酔っぱらって帰ったときの間食を減らすトライもしてきましたが、うまくいきません。そこで、買ってきたお菓子を「おっそわけ」用の袋に入れて、誰にあげるかをマジックで書いておくことにしました。自分が食べるぶんも少しは取り(たとえばエクレア1個)、残りを「おっそわけ」袋に入れるのがコツのようです。このワザの成功率もそれほど高くありません。結局「おっそわけ」袋を開けて食べてしまったこともあります。でも、しないよりはましです。

 最近はそのままにしておいた「おっそわけ」袋を1-2日後に捨てるという反モッタイナイ法も併用しています。この間はミスドで買った4つのドーナツのうち2つをその夜に食べ、2つを「おっそわけ」袋に入れてセーブし、二日後に廃棄しました。ちょうど、コンビニ弁当を安売りさせないセブンイレブンに対し、公正取引委員会が排除措置命令を出した日で、ニュースでは食料自給率が低いくせに、コンビニだけで世界の食糧援助の5%、日本全体だと世界の食糧援助の6倍近い食料を廃棄している現状が批判されていたところでした。とても申し訳ない気持ちになりました。この気持ちがうまく喚起できれば、もしかしたら飲んで帰る帰宅途中に余分な食料を購入するという行動を減らせるかもしれませんね。

 さて次回はいよいよこのシリーズの最終回です。テニスやクライミングの上達を目指したセルフマネジメントの成果を公開したいので、来週ではなく2-3週間後にご報告します。

〈第6弾(最終回)へ続く〉

03:08 午後 パフォーマンスマネジメント |

2009/07/02

誘惑:バカな誤変換がなくなる!? 日本語変換プログラム AquaSKK

こんなもん見つけてしまいました。

Aquaskk

どうやらLinuxのエディター用に開発されていた漢字変換プログラムをMacに移植しているプロジェクトらしい。

特徴は、AIなどを駆使した文法解析とか予測変換とかはいっさいせずに、どこを漢字にして、どこを仮名/カナにするかは、ユーザーが指定して入力すること。

詳しい説明はここに。

ことえりでもAtokでも、“バカ”な誤変換の原因はユーザーによる誤学習(誤変換しているのに確定してしまってそれをプログラムが覚えてしまう)によるところが大きい。つまり、“バカ”なのは自分自身ってことなんだけど、自分のバカな過ちを修正できない(誤学習した辞書を後から手動でも修正できない)のがいつだって大問題。

それなら最初から、変換に関してはプログラムに判断させず、こっちでやりゃいいじゃんという発想の転換は優れものだと思う。

ただ、使い方を習得するまでには時間とストレスがかかりそう。この忙しいご時世にその余裕はない。それに、もし完璧に習得して慣れてしまったら、他のPC(大学のノートPCとか)はよりいっそう使いにくくなるだろうなぁ。

と、誘惑にかられながら、現在、躊躇しているところです。

なんて記事をエントリーした後に、ことえりが暴走(珍しい、初めてかも)。ソフトウエアの嫉妬はオソロシヤ。

10:35 午前 Mac & Blog |

2009/06/26

Kzokuコラボ企画:ケーゾクはチカラ! その4

 今週も再びジャンプがありました。昼にマック(ダブルクォーターパウンダーセット+ベーコンレタスバーガー単品)、夜にラーメン+餃子+サービスのライスを食べた成果です。

Kzoku20090626

 一日三食、毎日30日間、マックを食べ続ける社会派ドキュメンタリー風コメディ映画がありましたが、やはりマックの効果は絶大です。わかっていても、時々、無性に食べたくなるんですよね(ふだんは圧倒的にモスファンなんですけど)。

スーパーサイズ・ミー [DVD] スーパーサイズ・ミー [DVD]
モーガン・スパーロック, モーガン・スパーロック

レントラックジャパン  2005-07-08
売り上げランキング : 18443
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 ラーメン屋さんのサービスライスも同じで、「ライスいかがっすか?」と威勢よく声をかけられると、ここで断ったら男がスタるような気がして、それほどお腹が空いていないときでも「はい、お願いします」って頼んでしまいます。ラーメン屋さんにNOと言えない私です。

 それでも週の後半は持ち直してきました。ただし、今日はこれから飲みに出かけますから体重増加は間違いなし。明日は仕事を休めそうなので、そのぶん精一杯運動することにします。

 さて、今日の話はトヨタ式なぜなぜ5回法です。ダイエットのコツというシリーズなのに、なんで toyota? プリウスでエコだから?と気が急くのもわかりますが、しばしご辛抱を。

 トヨタでは何か解決すべき問題が生じると「なぜ?」を5回繰り返して考えるそうです。たとえば、工場の生産ラインでどうしても不良品が減らない。「なぜ?」と調べてみたら、機械の一部に狂いが生じているのがわかった。それを直せば不良品は減った。ふつうならこれで一件落着なのに、ここでさらに「なぜ?」を繰り返す。つまり「なぜ、機械の一部に狂いが生じたのか?」と考える。調べてみると、その機械の定期メンテナンスはついこの間に行われたばかりでそのときには異常は発見されていなかった。そこでまた「なぜ?」を繰り返す。すると、定期メンテナンスの項目に狂いが生じた箇所のチェックが含まれていなかったことがわかる。当然、チェック項目を追加する。そしてそれでも「なぜ?」を止めずにさらに問う。「なぜ、今まで項目の漏れが問題になっていなかったのか?」と。すると、過去にも同じような問題があったのに、チェック項目が改訂されなていなかったことがわかる。そこで、さらに「なぜ?」と問う。すると、定期メンテのチェック項目を改訂することに責任をもつ担当者が配置されていないことがわかる。このラインだけではなく、別のラインでもそうだった。そこで、定期メンテの記録と品質管理のデータをつきあわせ、定期メンテで検査する項目を定期的に改訂するグループを作ったら、複数のラインで不良品が減少した。と、まぁ、こんな感じです(注1)

 最初に"問題"として浮かび上がってくる現象は、本当は氷山の一角でしかなく、「なぜ?」を繰り返していくことで"真"の問題とその原因が見えてきます。"真"の問題を解決しないと、モグラたたきのように問題は生まれ続けます。逆に、"真"の問題を解決してしまえば、その他の多くの問題も消失したり、未然に防ぐことができます。このあたりになぜなぜ5回法の醍醐味がありそうです。

 行動分析学を使って問題解決するパフォーマンス・マネジメントでも実は同じようなことをします。解決すべき問題や達成すべき目標を定めるときに、なぜそれが解決すべき問題なのか、なぜそれを達成したいのか、をとことん突き止めていくのです。

 たとえば、ダイエットの場合(ようやく話がダイエットに戻りました)、目標はたいてい体重や体脂肪率のコントロール(多くの場合は「減らすこと」)ですが、なぜ体重を減らしたいのでしょうか? 医者や家族に「メタボ」と注意されたからですか? 太っているとかっこわるいからですか? 彼氏や彼女が欲しい(モテたい)からですか?

 健康改善が"真"の目的なら、体重を減らすだけではなく、もしかしたらそれよりも、栄養バランスのいい食事を規則的に摂ったり、睡眠時間を十分に確保したり、仕事のストレスを減らしたり、ストレスを解消する遊びを増やしたりすることの方が重要で、かつ、有効かもしれません。そういう生活が送れるようになれば、体重も自然に減少することでしょう。

 モテることが"真"の目的なら、体重を減らすことよりも、出会いの機会を増やしたり(趣味のサークルに参加したり、学生時代の友達との旧交を温めるとか)、会話がはずむように相手の興味を惹きそうなことを学んだり、笑顔の練習をしたり、はたまたそのままの自分を受け入れてくれる人を探したり(mixiなどネットでの出会いが可能になった現在、ロングテール理論は男女関係にも適用されます)、他のさまざまな解決策が考えられます。

 なぜなぜ5回法をダイエットにも活用することで、ダイエットが成功したのにやせ過ぎて病気がちになったとか、頑張って痩せたのに相変わらず一人寂しい生活をするといった、本末転倒の結末を避けることができるようになります。

 それに、"真"の目的がはっきりしてくると、ダイエットのための「やること」にもハリがでてきます。今日バイクを30分こぐことで、三十年後、病院のベッドで寝たきりになる時間を3日間短くできるかもしれません。今このサービスライスに「NO」と言うことで、半年後、深津絵里さんのような女性(注2)と知り合えるかもしれません。

 行動分析学的ダイエットの“コツ”、第四弾はこれ。

行動分析学的ダイエットの“コツ” ○なんのためのダイエットなのか、なぜなぜ5回法を使って自分に問いかけ続けましょう。

○"真"の目的が見えてきたら、そのためにはダイエットするのがベストなのか、それとも他にもっとすべきことがないかどうか見直しましょう。

○それでもダイエットすることになれば、ダイエットのための「やること」と"真"の目的とを結びつけて、日々のダイエットにハリを持たせることに使いましょう。

 私の場合、ダイエットの目的はというと、テニスで体が動くようになったり、腕や腰の故障が少なくなったり、クライミングで今は登れないルートが登れるようになることなんです。そうなった方がモテそうだな(かっこ良く思われそうだな)ということもありますが、どちらかというと負けず嫌いで、試合に負けるのが嫌だったり、誰か他の人が登れちゃったルートが登れないのが悔しかったりすることの方が強いみたいです。

 ということは、実は単純にダイエットするよりも、テニスをする時間を増やしたり、試合で勝てる機会を増やしたり(そもそも試合に出る回数を増やし、さらに自分のレベルにあった試合にでること)、クライミングの練習の回数を増やすことが"真"の目的の達成のためには重要そうです。そして、こうした目標が達成できれば、自然と、体重や体脂肪率は適正レベルまでコントロールされるはずです。

 次週はなぜなぜ5回法を適用して自分のダイエットを改訂してみます。

〈第5弾へ続く〉

(注1)なぜなぜ5回法に限らず、トヨタのマネジメント技術については多くの本が出版されています(たとえば、若松義人氏の『トヨタの上司は現場で何を伝えているか』(PHP新書)など)。定期メンテの例はそうした図書を参考に私が創作した喩え話です。

(注2)好きなんですよねぇ。『若者のすべて』の頃から。

トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書) トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書)
若松 義人

PHP研究所  2007-03-16
売り上げランキング : 56779
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
若者のすべて DVD-BOX 若者のすべて DVD-BOX
萩原聖人, 木村拓哉, 鈴木杏樹, 武田真治

ポニーキャニオン  2002-06-19
売り上げランキング : 4074
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

06:04 午後 パフォーマンスマネジメント |

日本行動分析学会年次大会と教育セッション

日本行動分析学会の年次大会が近づいてきました。

今年は例年より少し早く、7月10日(金)-12日(日)に、筑波大学で開催されます。大会のwebサイトはこちらから。

初めてTXつくばエクスプレスに乗ることになりそうです(ちょっと楽しみです)。

行動分析学会の年次大会では昨年度から『教育セッション』という名称の研修会を開催しています。教員やカウンセラー向けの実践的な研修です。学校心理士の資格更新のためのポイント制度の対象にもなっています。

今年のプログラムは以下の通り。

日時:7月12日(日)
会場:筑波大学 大学会館・特別会議室(予定)

9:30-10:30 「インクルージョンを通常学級で進めるために、応用行動分析は何ができるのか?」 講師 加藤哲文 先生(上越教育大学教授)

11:00-12:00 「教師の保護者連携とその支援−不登校問題を中心として−」 講師  小野昌彦 先生(宮崎大学教授 )

13:30-14:30 「発達障害のある不登校児童生徒への支援−支援事例を中心に−」  講師 井上雅彦 先生(鳥取大学教授)

行動分析学会の会員ではない方も参加できますので、ふだんは少し敷居が高いなと思ってらっしゃる先生方もぜひご参加下さい。

当日参加も可能ですが、定員もありますので、事前に参加申込されることをお勧めします。

教育セッションの案内はこちらから。

10:46 午前 行動分析学 |

2009/06/19

Kzokuコラボ企画:ケーゾクはチカラ! その3

 まずは今週のマイダイエット報告から。

Kzokudata20090619

 Kzokuのグラフを見ていただくとわかるように、今週も順調に体重が減りました。一カ所グラフがジャンプしているところは、日曜日に開催された学会の懇親会で学生にそそのかされ、柿の種をたらふく食べてしまい、その後、テニスを3時間する予定が雨で1時間しかできなかったのに、さらに調子にのってファミレスで2,600円ぶんも食事をしてしまったためのリバウンドです(フ〜)。でも、その後は順調。1週間に1度の暴走なら、どうやらすぐに元に戻るようです。

 今のところ、やっていることは、毎日の体重と体脂肪率の測定と「やること」の記録だけです。カロリーを計算したり、絶食したり、食事制限したり、サプリを飲んだりはしていません。

 もちろん、自分のダイエットをこうやってプロジェクト化し、ブログで公開し、大学の授業でも学生に紹介していますから、自分ひとりで取り組んでいる状況とはずいぶん違います(法政大学の「行動分析学」という授業では受講生全員がそれぞれセルフマネジメントのプロジェクトに挑んでいます。学生さんにやらせるだけでは説得力がないので、私も何かしらのプロジェクトに一緒に取り組むようにしているんです)。

 自分ひとりで記録しているだけなら「やること」ができなくても、体重が減ったり増えたりしても、それを知ることができるのは自分だけです。でも、こうやって、自分の行動の記録をネット上の不特定多数、そして授業を受講している特定40人くらいの学生たちに公開すると、「やること」ができなかったり、体重が減らなかったときにも隠しようがありません。うまくいかないと“恥ずかしい”と思うような状況を作り出しているわけです。うまくいったときに“どうだ、すごいだろ!”と人からの賞賛を呼び寄せる仕組みであるとも言えますが、個人的には恥ずかしさの回避の方が大きいような気がします。

 自分で自分の行動記録をみることがどのくらい自分の行動に影響するか、行動記録を他の人に公開することがどのくらい自分の行動に影響するかには大きな個人差があります。自分で「やろう」と思い立ったことができないときにどのくらい“残念”に思うか(そんな状況を避けようとしてやるべきことをやれるか)、できたことを他の人から承認してもらえることがどれだけ“嬉しく”感じるか(そのために頑張れるか)は、生まれてこのかたどのような発達・学習をしてきたかによって、それからもしかしたらある程度は遺伝的にも、決まってきます。

 大事なのは、こうした個人差は「できないときにはもっと恥ずかしく思わなくては」と“反省”することで変わるものでないということです。“気持ちの持ちよう”で変わることでもありません。だから、逆に言えば、できないからといって自分を責める必要はありません。いくら責めても変わらないからです。

 目標が達成できなかったり問題が解決できないときに、それを人の能力や性格のせいにして他に解決のためのアクションをとらなくなってしまうことを《個人攻撃の罠》と呼んでいます。ダイエットがうまくいかないと「自分はだめなんだ」と“自己嫌悪”に陥ってあきらめたり、逆に過食してしまう人もいます。これも個人攻撃の罠の一つです。

 罠にはまったら(普通の人なら必ずハマります)、まず罠にはまったことを認識すること、そしてハマりながらも、同時に、能力や性格以外の要因を見つけていくことができれば、罠から抜け出すチャンスが見えてきます。

 行動分析学では行動の原因を (1) 遺伝、(2) これまでの発達や学習、(3) 現在の状況の3つの要因に分けて分析します。「能力」や「性格」と言われる特性は最初の2つによって形成されます。ここには気持ちの持ちようや少々の工夫で変わる余地はほとんどありません。何しろ遺伝は何十・何百世代前からの学習、過去の発達や学習も年齢ぶんの(45歳の私なら45年ぶんの)“実績”がありますから、そうそう簡単に覆せるものではないのです。「三つ子の魂百まで」という格言も、少し大げさだけど、部分的には真実なんです。

 ダイエットの記録を公開することによる“恥ずかしさ”や“誇らしさ”の強弱はまさにこうした不可侵領域にある特性の一つです。だから、“恥ずかしさ”が弱いことに自己嫌悪しても仕方ありません。できることは、自分で自分の特性に気づくことと、その特性をできるだけ活用することです。

 行動分析学的ダイエットの“コツ”第一弾では「記録から自分の傾向を知りましょう」と書きました。自分の行動を記録しながら、さまざまな工夫をして、成功と失敗を繰り返すことで、自分の行動を継続するために有効な要因とそうでもない要因が見えてきます。たとえば、Kzokuで記録をつけるだけでは不十分でも、Kzokuのダイエット日記にコメントを書込んでもらうように友達にサポートを頼んだらうまくいくのなら、あなたは不特性多数の人より、特定の友達にどのように思われるかの方が有効な要因だと言えます。友達の目があってもうまくいかないけど、自分で自分にご褒美を用意することで(たとえば、目標体重に達したら新しいiMacを買うことにするなど)、うまくいくなら、あなたには人の目よりも欲しいモノの方が有効ということになります。何が有効なのかは人それぞれ違います。私の場合は(どうやら自分で思っているよりも)人の目を気にするようです。

 自分の特性がわかってくると、どうすれば自分の行動を継続できるかも見えてきます。「三つ子の魂百まで」が部分的にしか真実ではないのは、自分の特性を知り、行動の法則にそれをあてはめて、上記の最後の砦である「(3) 現在の状況」を工夫すれば、《行動は変わる》からです。

 行動分析学的ダイエットの“コツ”、第三弾はこれ。

行動分析学的ダイエットの“コツ” ○体重や行動の記録を他の人に公開することで、うまくいったときの誇らしさやうまくいかないときの恥ずかしさを自分の行動継続に利用しましょう。

○ただし“誇らしさ”や“恥ずかしさ”がどのくらい有効かは人によって異なります。だから、継続に取り組みながら自分の特性を見つけて、それを活用しましょう。

 行動分析学的ダイエットの楽しさの一つには、ダイエットをしながら、自分でも気づかなかった自分に出会っていくことかもしれませんね。 

 そうそう。今週はKzokuからこんなメッセージが。

 こういうサプライズで継続を強化する試みも仕組んであるんです。

120kaikzoku

 

〈第4弾へ続く〉

続きを読む "Kzokuコラボ企画:ケーゾクはチカラ! その3"

11:08 午後 パフォーマンスマネジメント |

2009/06/17

『自閉症児のための明るい療育相談室-親と教師のための楽しいABA講座』

これはすごい。小林先生と奥田先生のユニットというのも想像を絶するが(注)、内容に抱腹絶倒。

療育に関する54の問いに二人の臨床家がそれぞれわかりやすく、親御さんにとってはおそらくすぐに「やってみたい!」と思うであろうテクニックを紹介するという形式の本。

たとえば「Q36:洋服にこだわりがあって困ってます」という問いに対し(自閉症のお子さんではよくあることですよね)、小林先生は「うっかり法で慣れさせましょう」、奥田先生は「どさくさにまぎれて法で着せてみましょう」と答える(詳しい方法を知りたい人は本を買って読んで下さい)。

何がすごいかっていうと、臨床の職人技(もしくは芸)と行動分析学のサイエンスの境界線をいったりきたりする本であるということ。

行動分析学は発達臨床に役に立つテクノロジーを確実に開発してきたけれど、それだけだとプロの臨床の仕事はできない。自分は臨床家じゃないんで、かつ、たくさんの臨床家の人たちを観察する機会に恵まれてきたので、そのへんよくわかっているつもり。この本にはそのプラスαの一部分がもったいぶらずに公開されてます。

発達障害を持ったお子さんに関わる人、必読。



 
自閉症児のための明るい療育相談室ー親と教師のための楽しいABA講座 自閉症児のための明るい療育相談室ー親と教師のための楽しいABA講座
奥田健次

学苑社  2009-05-20
売り上げランキング : 1089
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

(注)編集担当の人は苦労されたのではないかという邪推です。

03:24 午後 日本語で読める行動分析学 |

2009/06/16

訃報:シド・ビジュー先生(Dr. Sidney W. Bijou)

冨安ステファニー先生から下記の訃報をいただきました。許可をいただきましたので転載します。

Bijou

(追記:Ed Morris先生から冨安先生経由でプレスリリースが送られてきましたので、ここに掲載します)

ビジュー先生は子どもの発達を行動分析学から研究したパイオニアです。キャンピングカーのような移動式実験室を使ってアクティブにデータ収集されいたというお話をお聞きしたことがあります(このホームページにその写真を見つけました)。

代表的なご著書である Behavior Analysis of Child Development は日本語訳もでています。子どもの典型的な発達を行動分析学から解釈したり、実験的に分析する一方で、子育て支援や発達障害を持った子どもと保護者のための支援プログラムを開発するなど、実験的・応用的・理論的に幅広く活躍された先生です。

ビジュー先生とはニューヨークのカンファレンスでご一緒させていただき、奥様と伴にランチをさせていただいたことがあります。

とても物静かで優しい笑顔が印象的で、どちらかというと奥様が主に話をされ、ビジュー先生は微笑んだり、うなずいたり、時折コメントされていました。

奥様が「最近の学生さんは先生もすぐにファーストネームで呼ぶようになるけど、私はDr. Bijouと呼ぶべきだと思う」と強く主張されていたのと(その瞬間からBijou先生に何と呼びかけていいか困りました)、日本でポーテージプログラムがどのように展開されているかを気にされていたのを覚えています。

猫がお好きだったんですね。

ご冥福をお祈りいたします。

子どもの発達の行動分析 子どもの発達の行動分析
Sidney W. Bijou 園山 繁樹 山口 薫

二瓶社  2003-10
売り上げランキング : 386919

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

09:10 午前 行動分析学 |

2009/06/15

やさしい経済学

日経新聞の連載『やさしい経済学』が面白い。

しばらく前までは大阪大学の池田新介先生が時間割引について解説していた。

マクロ経済学の専門家だそうだが、8回の連載中なんと3回ぶんの記事で実験的行動分析学の研究を引用されていた。

それも、ハーンスタイン、エインズリー、マツール(メイザー(Mazur)先生のことあるね)の、ハトを被験体にしたマッチング法則やセルフコントロールの実験である。

限られた紙面への掲載なので引用元の情報がないが、おそらくいずれも Journal of the Experimental Behavior Analysis に掲載された研究論文だと思われる。

80年代終盤にヒットした法廷ドラマ L.A. Law (注) のエピソードの一つで、政府が無駄に出費している研究の例として、成人男性が一日にトイレのふたを開け閉めする回数を調べる研究とハトのセルフコントロールの実験がやり玉にあげられていた(ように記憶している)。

それが今ではノーベル賞を受賞するくらい社会的に認知された“行動経済学”の専門家がハトの実験を引用するのだから、基礎研究というものは将来どう化けるわからないものである。たとえそのときに重要性がわからなくても、やはり投資は続けるべきだ。

『やさしい経済学』では、池田先生の連載が終わった後、しばらくして、今は大阪大学の田中沙織先生が「神経経済学で脳に迫る」という題目で継続している。田中先生の記事では、行動分析学から発展した“強化学習”の理論が神経経済学でいかに援用されているかが紹介されている。

実はこのところ“教育経済学”の本を何冊か読んだのだが、その分析はまるで行動分析学的で驚いた。ものすごいパラレルワールドなのである。

学会間の連携は今のところないが、共同シンポジウムなんかを企画してみてもいいかもしれない。

(注)留学中によく再放送していて死ぬほど観たドラマ。スーザン・デイ演じるグレース・ヴァン・オーウェンが大好きだった(ホレぼれ)。

09:04 午前 行動分析学 |